プールで、スイスイするのが好きだ。
中学生の頃、水泳の授業中に「エマリアン、泳げないなら隣のレーンに行ってよ。お前のせいで後ろが詰まってるんだぞ」と言われてから、なんとなく遠ざかっていたのだが、高校の卒業式の翌日に東日本大震災があったり、向田邦子の黒い水着に憧れたりと、いろいろ思うことがあって、大学を卒業してから水泳教室に行きはじめた。
週に2回、ご年配の方々に混じって習っていたら、半年ほどでたいていの泳ぎはマスターした。決して上手くはないし、速くもないが、水の中をスイスイするのは気分がいい。
今はもう水泳教室には通っていないが、機会を見つけてはあちこちのプールで泳いでいる。韓国に留学中も、学校のプールに通った。
水泳は歳をとっても続けられるのがいい。今年88歳になった祖母は、コロナ前まで毎週プールで泳いでいた。
私は金持ちになりたいだとか、豪邸に住みたいだとか、そういった夢はないけれど、家にプールがあったらいいなとたまに贅沢な夢物語を見る。でも、掃除も大変だし、維持費もものすごくかかりそうなので、家から歩いて5分くらいのところにプールがあったら最高だ。
私は宿泊するホテルにプールがあると、ものすごくご機嫌になる。しかしここでは水泳帽を被らないといけない。バカンスを満喫しようと、せっかくお気に入りの水着を用意しても、一気に夏休みの小学生のようになってしまう。私は決して水泳選手のように、かっこよくはなれない。水泳帽着用って日本独特のルールだ。
「READY TO KICK(レディ トゥ キック)」は、水泳帽などのスイムウェアを作るブランドだ。私がいつか見た、昔の写真に写っていたようなお花がたくさんついた水泳帽。レディ トゥ キックのインスタグラムで、おばあさんがそんな帽子を身につけている写真を見たとき、とてもわくわくした。私はこの帽子をかぶって、おばあさんになってもホテルのプールで泳ぎたい。いや、市民プールでだって、かぶっちゃおう。